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2008年1月

まじめにバカバカしさを追求する【点描画】

今年度の3年生が制作した点描画です。

この点描画を制作する前の段階として下絵としてのコラージュをします。毎年、本校の図書館には定期購読の雑誌類が大量に古本として廃棄されますがこれを貰ってきて美術室に積んでおいたものから生徒が無作為に切り抜きを行います。これらを自由に組み合わせて「あり得ない光景」をつくるわけです。

「あり得ない光景」は文字通り現実には起こりえない状況を生徒は想像力を働かせて雑誌からの切り抜きを自在に組合せます。常識にとらわれると平凡で意外性に乏しいものしかできません。この教材のポイントはいかに切り抜きを組み合わせた中で遊べるかなのです。「バカバカしい」とか「気持ち悪い」とか、通常は印象の悪いことばですがこれらをキーワードとして真面目にふざけられたら面白いものができます。きっと学校教育の中ではこういった教材に目を向けてこなかったと思います。でも、他学年の生徒からは「早くやってみたい」「面白そう」という反応が出ています。こういったリアクションが起これば「つかみはOK」なのです!

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一本取られました

「裏の裏」 及川 鑑治(3年)
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昨年の高文連に出品した作品です。彼は3年生でこれが最後の高文連出品作になりました。

元々、描写力の高い生徒でしたが3年間の集大成ともいえるこの作品では表現に彼なりのウイットを効かせたものになっています。

全くの原寸サイズでの描画はトリックアート的な要素を持っています。通常ではモチーフに選ばないものを描こうとしている事に加え、何の変哲もないキャンバスの裏に様々なモチーフを描き加えて物語性を演出しています。何より「裏の裏」というタイトルが鑑賞者に問いかけをしています。これはキャンバスの表面に描いた裏面なのだ…ということ…になりますか?

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ただ、まっすぐに【点描画】

昨年の生徒作品からの紹介です。前回の女子生徒と同じく弓道部に所属していた女の子の作品です。

点描はただでさえ根気が必要な描法です。密度を高めようとすれば時間もそれだけかかります。この作品はその時間もさることながら、点描そのものがとてもきれいにできています。画像をクリックして拡大するとお分かりかと思いますが点描の点がきちんとした「点」になっていることがお分かりでしょうか。つまり、彼女が点を打つ時には用紙に対してペンが垂直に降ろされているということです。集中力を要する制作ですが、時に点描がいい加減になることもあります。そういう時の点描は「点」ではなくなります。言い換えますと「点」が「真円」から「楕円」や「線」になってしまうのです。

この生徒作品の評価のポイントはそれだけではもちろんありません。構成の仕方も実にしっかりしています。制作時間は授業だけでは不足し、自宅に持ち帰ることも多く、かなり頑張って制作しました。その仕上がりには心から敬意を表したいと思います。

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密度と精度【点描画】

昨年卒業した生徒の作品です。この生徒の作品はとにかく点描の密度が高く、特に一見するとベタ(塗りつぶし)にも見えるところをしっかり点描で表現しています。画面構成にも動きがあり優れた作品といえます。

作者は弓道部に3年間所属していた女の子です。なぜか本校の弓道部員には美術が得意な生徒が多いのです。そんな子らと話をしてみると「美術部に入ろうか迷った」という声も多く、なにか因縁があるのかと考えてしまいます。正確な分析は不可能ですが彼女の作品は弓道で養われる力が発揮されていると感じます。集中力の高さと対象に迫ろうとする気迫は、この作品の点描密度や完成度の高さで知ることができるでしょう。

彼女は美術系大学への進学を目指して部活動との両立の中で頑張ってきた生徒です。現在は都市景観デザインなどの勉強をしています。これからの活躍が楽しみな卒業生です。

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無から有への発想【点描画】

学校教育では正解を導き出すような学習活動がそのほとんどを占めているとも云えます。美術の授業でも「正確に描く」「バランス良く」という基礎的な学習は勿論ありますが、生徒個々の千差万別な発想を引き出し正解のない答を求めるような活動は他の教科ではあまり見られない創造的な特色のひとつです。

この点描画のテーマは「あり得ない光景を描く」です。当然、普段目の当たりにしているものを描くのではなく、雑誌の写真などを自由に組み合わせるコラージュという手法で自然の状態では起こりえない情景を構成したものを点描で表現します。

ここで一番のポイントはどのようにすれば想像上でしか実現しない光景をつくり出せるかという事です。「こんなこと絶対あり得ない」という場面を考えることは思った以上に難しい事でしょうが「無から有を生み出すこと」が芸術活動とするならば、この課題はうってつけの演習となりうるはずです。

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(今年度の3年生の作品)

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3学期に向けて

私の勤務校は3学期制ですので明日から新学期となります。1年生はイラストレーション(色面分割)、2年生はポスター(私のメッセージ)、そして3年生は絵本の仕上げとなります。

3学期は入試や年度末業務があったりで授業が少なく時間を調整しながら進めて行くことになります。いつもこの時期に鑑賞の授業を入れようとしても十分に出来ずじまいになることもしばしばです。

ここ何年か時間を見つけて映画(ビデオ)を見るようにしています。鑑賞のひとつという訳ではありませんが「真珠の耳飾りの少女」というフェルメールとモデルとなった使用人の少女を描いた作品です。この映画の素晴らしいところは、その画面の色彩だと思います。フェルメールの描いた画面の空気の色とでもいうのでしょうか。とにかく全編の色彩が絵画のように私の目には映るのです。更に、17世紀オランダ美術を取り巻く情景の中にパトロンと画家の関係、絵の制作に関わる様々な描写…例えば絵の具の作り方やカメラオブスキュラを使った遠近表現へのアプローチなどは興味が尽きません。

これらを私一人で図版を使ったり黒板の前で説明してもなかなか生徒には理解しづらい事ですが映画ならすんなり受け入れてもらえることも多いと感じています。このような優れた映画がこれからもつくられることを願って止みません。


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磨き出される意識【抽象彫刻〜心のかたち〜】

今年度に制作された2年生の抽象彫刻です。

これを制作した男子生徒は、普段あまり作品について多く語ることはありませんでした。制作の後半、流しで水をかけながら耐水ペーパーで表面を磨き上げるのですが、彼は他の者よりも随分と時間をかけていました。その後のピカール(金属研磨液)での仕上げも念入りに行っていた事もあり、とても美しい表面となりました。

作品のフォルムそのものは取り立てて特徴があるわけではありませんでした。おそらく明確な「心のかたち」を見つけ出せないままに造形をしてきたのだと思います。しかし、表面を磨き出す行程で彼の中にある「心のかたち」が意識されてきたのではないでしょうか。

「先生、ほら、ピカピカでしょ!」と仕上げを終えて誇らしげな彼の言葉にそれを感じました。

(作品画像は僕の撮影アングルが悪く、残念ながらその魅力を十分に伝えることはできません。泣)

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世界観【絵本】

これまでもこの絵本をつくった生徒の作品は紹介してきました。美術部でも優れた作品を多く残した生徒です。

彼女には確固たる世界観があります。そこに行き着くための技術と追求する気持ちは僕自身も見習わなければならない程だと思っています。特に彼女が主に使ってきた色鉛筆による描画はその可能性を見る者に突きつけたと言えるほどの表現力です。

この絵本では「Paff ,The Magic Dragon」というPPM( ピーター・ポール&マリー)の曲の歌詞から彼女なりにストーリーを再構成しています。相当古い曲ですが、この曲といつ出会い、なぜ彼女がこの曲を作品にしようと思ったのかは最後まで聞けずに終わりました。僕自身、この曲は聴いた事はあってもその詞の世界を知ることはありませんでしたが、彼女の絵本が新たなイメージをもたらしてくれた事は事実です。絵も内容もとても美しくて切ない作品です。

彼女は今、東京の専門学校でアニメーターになるための勉強をしているはずです。もしかしたら、そのうちに私たちは彼女の仕事を目の当たりにするのかもしれませんね。

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水の種 森の声 耳をすませば

切り絵作家としても活躍されている星園高校の竹本万亀先生の作品展に行ってきました。今回はネイチャークラフト作家の伊藤順敏さん(旭川)とのジョイント展覧会です。

カエルや亀に加えて猫をモチーフにつくられた切り絵は正に竹本ワールドと呼ぶに相応しい独特の感じがあります。先生の切り絵は全国的に知名度が高くファンも多いそうで、会場に並ぶ数多の造形を見ると納得できます。

ジョイントした伊藤さんは木の枝などを擬人化した造形や豆を素材にした工芸品を展示販売していますがペンダントやストラップアクセサリーなどはとてもおしゃれな感じです。

「水の種 森の声 耳をすませば」 1/15(火)〜20(日)まで
13時〜21時
釧路市栄町8 アートスペース ジスイズ2階

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上:【亀マンダラ】は大サイズかつ繊細な切り絵です!


中:色紙サイズですが先生の独特の世界観が出ています。


下:平面的な切り絵を床から高さを出して立体感を演出したもの。
(上手く写っていませんが透明な筒に切り絵が付いています)

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絵本のココロ【絵本】

今回も昨年の作品から紹介です。

ご覧になって分かるとおり、この絵本には文章は添えられていません。勿論、このページ以外の全編通して一切文字を使ってはいないのです。

物語は主人公の少年が逆上がりが出来なかったのを練習の結果、出来るようになるというとてもシンプルなものです。しかし、少年の表情、仕草で心情をこの絵本を読む者に伝えたり、青空から夕景に変わるような情景の変化で時間経過を表現したりと、それぞれのページに描かれた絵が雄弁に作者の思いを伝えます。

絵本は「絵で伝える物語」と考えると、文章がなくとも読み手にそのストーリーが届くことが求められます。この事は、文字の読めない小さな子や日本語を読めない外国の方にも絵でコミュニケーションが可能であると言うことで、これは芸術の持つ本質の一つです。この事を取り立てて指導しなくとも実践できた生徒の感性に敬服します。
(相変わらず僕は何も指導していないのにです…笑)


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配色と構成と【絵本】

絵本の作品を紹介します。(残念ながら見開きの2ページだけですが)

丁度、1年前の作品ですが配色と構成の仕方がとても上手いのです。こんな色の組合せは僕には到底思いつきません。(ということは、僕の指導の成果ではないのですね…)

当時3年生の女子生徒が制作したのですが授業中は相当な集中力で一言も声を出さないで取り組んでいました。「ちゃんと息しているか?」と何回か聞いたくらいです。

絵本の内容は、彼女が好きなアーティストの歌詞を元につくられていて、詞の内容につけたイラストが彼女以外の人には表現できないような仕上がりになっています。

現在、彼女は札幌にあるデザインの専門学校で勉強中ですが、あれから1年でどんな成長をしているのかがとても楽しみな卒業生です。

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3年間の変遷(3)

【ミライ】(3年)

最後の高文連出品作。道立近代美術館で開催されていた「野田弘志展〜写実の彼方に〜」を見に行って彼なりに影響を受けたのだと思います。マチェールやリアリティーの追求など、この年はいろいろ迷いながらの制作でかなり苦労していたようでした。

小学校の時に貰ったウルトラマンのお面を持った自画像、怪獣の人形との組合せは前年のイメージと近似していますが彼なりにモチーフと構成には意味づけをしていたようです。この作品ではそれぞれの質感の違いを出すことに腐心していました。

それにしてもTシャツの柄や怪獣人形の表面などの描き込みで見せる集中力は端で見ていて面白かったです。しかし、細部のこだわりは彼にとって良いところでもあり全体を大きく捉える力に欠ける点では長所と短所は表裏一体か?

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3年間の変遷(2)

【記憶の赤】(2年)

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将来の希望を聞くと決まって「ウルトラマン」と言うほど、息子は幼い頃から大のウルトラマン好きでした。誕生日やクリスマスなどに買い集めたウルトラマンの人形は膨大な数になりました。

高文連に出品する作品として彼は自分の姿とこれらの人形を配置した作品を描きました。ウルトラマンやセブン…細部の描き込みが好きな息子にとっては格好のモチーフとなったようです。中でも画面左上、唯一ウルトラマン以外にアクセントとして描いたカプセル怪獣・ウィンダムの力の入り方は異常です(笑)。

色に深みが出にくいアクリル絵具で何度も透明色をかけたり拭き取ったりを繰り返して画面の軽さを克服することに少しは成功したのではないでしょうか。

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3年間の変遷(1)

本校の生徒作品ではありませんが、ある高校生の3年間の移り変わりを見て下さい。

【AKA】(1年)
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ご覧になって気づかれたかもしれませんが、作者は息子でプロフィールの写真にもある我が家に拾われた迷い犬アカをモデルに描いたものです。病気と高齢のため動きも緩慢で同じポーズを取ってくれたのが良かったのではないでしょうか。息子は神田日勝の特に「室内風景」という作品が好きでアカの背景に描かれた新聞紙の描写にその影響が見られます。

中学校で指導して下さった美術部の顧問の先生からアクリル絵具で描くことを勧められ、高校の3年間は一貫してアクリル画での制作でした。

夏休みを利用して制作されたこの作品は秋に開催された高文連の全道大会に出品されましたが大会から息子が帰って来る日の朝に亡くなりました。アカが彼に描く力を与えたような気がしてなりません。

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プチ・コレ「日本画の秘密」

1月6日〜2月17日まで、釧路市立美術館でプチ・コレ アートフォルダー〈日本画の秘密〉という所蔵作品を中心にした展覧会が開催されています。収蔵作品ではありませんが私の作品も借り上げられた「記憶の重力」が展示されています。羽生輝氏や久本春雄氏など日本画の大先輩と同じ展示室に飾られているというだけで光栄なことです。

道展の仲間で北陽高校の高橋潤先生の作品も同様に並べられています。お近くの方はどうぞ足をお運び下さい。(月曜休館、大学生以下は無料ですが一般は110円かかります。)

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触発、そして再開

最後の更新を見ると2年前…。この間、沢山の生徒作品が生み出されてきました。他の方々に見てもらいたいという気持ちとは裏腹になぜか自分自身が充実していなかったのでこのブログにも全く手をつけてきませんでした。しかし、先日参加した北海道高等学校教育研究集会・芸術分科会で知った「おといねっぷ美術工芸高校」の取り組みと石塚耕一校長のブログ「学びの森」に触発されて再開してみようかと思いました。

さて、2年ぶりの再開、第1弾として幾つかの抽象彫刻を紹介します。以前は断熱材のスタイロフォームを素材として造形したものに石膏液に浸けて表面的な硬質感を出すというものを紹介しました。その後、彫刻の持つ質感や量感はスタイロフォームでは追求できないのではないかと考えGロックという石彫素材に変更しました。

人造大理石というGロックは石材でありながら石膏程度の硬度で彫り易くかつ適度な抵抗感があり教材としては適したものでした。また、彫刻をすべて終えてから水の中に浸し十分に水分を吸収させると石膏と同様に化学変化を起こし硬化するという性質を持っており、表面を耐水ペーパーで磨いた後、ピカールという金属研磨液で磨き上げるといっぱしの質感が得られるのが特徴です。

この彫刻制作で生徒たちは授業の開始前に美術室に来てさっさと準備を整え、こちらが指示しなくとも制作を始めていました。どちらかというとのんびり屋さんが多いと思っていましたが子どもたちの行動は興味や関心にとても正直です。彫刻そのものが持つ魅力は他には代え難いものなのだと実感しました。

この制作でのテーマは「心のかたち」をつくるという従来から変わらないものです。石材という抵抗感のある素材は自ずと子どもたちの制作意図にも影響を及ぼします。造形が難しい材料と自分のイメージをどう折り合いをつけるかが大きな課題だったのでしょうが完成した作品にはそれぞれの思いが込められていると思います。

スタイロフォームなど可塑性の高い材料には造形の自由度がありますが手を通した素材との対話は希薄です。「困難や課題という抵抗を自分なりに克服して造形を進める」ということが古来から人が扱ってきた石や木などが実現するのだと改めて納得した次第です。それにしても、子どもたちの造形感覚には毎回脱帽します。

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〈いずれも平成19年度・2年生の作品〉

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